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指しゃぶりって、いつまで大丈夫?

23.09.26(火)

指しゃぶりって、いつまで大丈夫?

子育ての日々は、毎日が新しい発見とともに、数えきれないほどの疑問や不安に溢れています。中でも「あれ?この癖って普通?」と感じること、皆さんも一度や二度は経験があるのではないでしょうか。特に、指しゃぶりやお口の癖は、成長と共に気になるポイントですよね。今回は、これらのお口の癖が子供の成長にどのように影響するのか、そしてその対処法について深掘りしていきたいと思います。

子供のお口の癖について詳しく見ていきましょう。

①指しゃぶり(吸指癖)

1歳半~5歳の間によく見られるこの癖は、心の安定や安心感を求める行動として生じることが多いです。特に3歳までは、手と口の感覚をつなげることで周りの環境や物を理解しようとする、成長と発達の一環としての行動です。この期間に指しゃぶりをすることで、自己安定や安心感を得られるため、過度に禁止することなく、見守ることが大切です。

しかし、3歳を過ぎても続いている場合、様々な要因、例えばストレスや環境の変化、新しい環境への適応などが考えられます。この時期には、子供とコミュニケーションをとることで、癖の原因や背景にある感情を理解することが重要です。

また、指しゃぶりをすることによる歯並びの変化や顎の発育に関する懸念もあります。絆創膏を指に貼る、指しゃぶり専用の手袋や親指ガードを使用するなど、小さな工夫でこの癖に気づかせたり、徐々に減少させる方向に導くことも可能です。

 

②おしゃぶりの長期使用

この癖も1歳半~5歳の間に特によく見られるものです。おしゃぶりは元々、赤ちゃんの安定感を促進するためや泣き止ませるためのツールとして使用されますが、成長するにつれてその必要性は減少します。

長期にわたるおしゃぶりの使用は、顎や歯並びの形成に影響を及ぼす可能性があります。具体的には、上の前歯が外向きに傾いたり、下の歯が内向きになったりする「おしゃぶりの咬み合わせ」と呼ばれる状態が生じることがあります。

また、おしゃぶりをし続けることで、舌の位置や動きが正常でなくなることがあるため、発音にも影響が出ることが考えられます。長期的な使用は耳の感染リスクの増加も指摘されています。

そのため、2歳を過ぎたら徐々におしゃぶりを減少させるようにし、特定の時間や場所(例:就寝時のみ)での使用に限定するなど、段階的に卒業を目指すと良いでしょう。そして、3歳を目処に完全に卒業するのが理想的です。

③お口ぽかん(口呼吸、口唇閉鎖不全)

5歳~12歳の間で一般的に見られるこの状態は、さまざまな要因により起こるものです。特に以下のような3つのパターンに大別することができます。

  • :鼻呼吸が困難な場合
    このケースは、アレルギーや鼻の中の肥大した鼻甲介、鼻づまりが原因として挙げられます。継続的な鼻づまりが口呼吸を引き起こすことがあるため、早期に耳鼻科での診断と治療が推奨されます。
  • :口呼吸が習慣化している場合
    鼻呼吸が可能な状態でも、何らかの理由で口呼吸が習慣となってしまうことがあります。この場合、鼻呼吸の訓練や習慣を再確認し、日常生活の中で意識的に鼻呼吸をするよう努めることが大切です。
  • :お口を閉じることが困難な場合
    これは、顎や舌の筋肉のバランスが崩れている、あるいは骨格の問題などが原因となっています。特に歯並びに影響を与える可能性があるため、早期の対応が重要です。歯科や矯正歯科での相談、治療を検討すると共に、口を閉じるための専門的なトレーニングやリハビリが推奨されます。

これらの問題に取り組むには、専門家のアドバイスや指導を受けながら、日常の生活習慣を見直し、適切なケアを心がけることが効果的です。

 

④下唇をギュッとかんでしまう(咬唇癖)

この癖は特に5歳~12歳の間によく見られる現象で、多くの場合、ストレスや不安、集中している時、考え事をしている時に無意識的に下唇を噛んでしまうものです。継続的に唇を噛む癖があると、唇が荒れたり、痛みを伴うこともあるため注意が必要です。

一部の子供たちはこの癖を持つことで、一時的な安心感や気を紛らわせる効果を感じることがあります。しかし、長期的には歯並びに影響を及ぼす可能性や、唇の皮膚が傷つくことで炎症や感染の原因となることも考えられます。

この癖に気づいた際の対策としては、以下のような方法が考えられます。

  • 自覚の促進: 鏡を見て自分の唇の状態を確認することで、癖の存在を再認識することができます。また、保護者や友人に気づいたら指摘してもらうのも良い方法です。
  • 代替行動の提供: 唇を噛むことから注意を逸らすために、手を動かす小さな玩具やストレスボールなどを持たせることで、別の方法でストレスを発散させる手助けをすることができます。
  • 原因の特定: なぜ子供が唇を噛むのか、背景に何か特定の理由や感情があるかを理解することで、根本的な対処が可能になります。必要に応じて専門家と相談することも検討すると良いでしょう。

⑤ベロが常に前に出ている(舌突出癖)

子供たちの中には、舌が常に前に出る状態でいることが多い子がいます。特に5歳~12歳の間にこの癖が顕著に見られることがあります。舌突出癖は、多くの場合、舌の筋肉が正常に機能していないか、生まれつき舌が大きいために起こることが考えられます。また、乳歯と永久歯の生え変わりの時期や、鼻呼吸がうまくできないことも舌突出の一因となることがあります。

この癖が続くと、以下のような問題が生じる可能性があります。

  • 歯並びの悪化: 舌が常に前歯の裏側に当たっていると、前歯が前に突き出てきたり、歯の間に隙間ができることがあります。
  • 発音の問題: 舌の位置が正常でないと、特定の音を正確に発音するのが難しくなることがあります。
  • 口呼吸の増加: 舌が前に出ることで口が開きやすくなり、口呼吸が増えることが考えられます。

舌突出癖の対策としては、以下のような方法が考えられます。

  • 舌の位置のトレーニング: 正しい舌の位置を意識してもらい、日常での舌の位置を正す練習を行います。例えば、舌の先を上あごの正中にある小さな突起(歯茎の丘)に当てる練習などがあります。
  • 正しい呼吸方法の指導: 鼻呼吸を促進することで、口が自然と閉じることを助け、舌の位置も正されることが期待されます。
  • 専門家との相談: 継続的な舌突出癖が見られる場合、言語療法士や歯科医師との相談を検討することがおすすめです。

 

⑥爪を咬んでしまう(咬爪癖)

5歳~12歳の間に爪を咬む習慣を持つことがあります。この咬爪癖はストレス、不安、退屈などの感情的な要因に起因することが多いとされますが、単に習慣として身に付いてしまうこともあります。

咬爪癖がもたらす様々な問題点:

  1. 歯並びの悪化: 爪を咬むことで歯が適切な位置よりも前方に移動することがあります。特に前歯の位置に影響が出やすく、隙間が開いたり歯が斜めになることが考えられます。
  2. 爪の健康: 爪を頻繁に咬むことは、爪やその周辺の皮膚の炎症や感染のリスクを高めます。
  3. 歯の損傷: 硬い爪を咬むことは歯にダメージを与える可能性があり、特に乳歯は咬爪癖の影響を受けやすいとされています。

咬爪癖の対策としては、以下のような方法が考えられます。

  • 爪のケア: 定期的に爪をきれいに切り、短く保つことで咬む機会を減少させます。
  • ビターな塗り薬: 薬局などで販売されている爪に塗る苦い液体を使うことで、咬むことの抑止効果が期待できます。
  • 感情の管理: 爪を咬む原因となるストレスや不安を管理することも大切です。リラクゼーションや呼吸法、趣味などを通じて感情をコントロールする方法を導入すると良いでしょう。
  • 専門家との相談: 継続的な咬爪癖が見られる場合、心理カウンセリングや行動療法を行う専門家との相談を検討することがおすすめです。

 

子供たちの成長は、それぞれのペースとともに様々な癖や習慣を伴います。それらの癖や習慣は子供たちの心や体の成長を反映していることが多く、悩みとして捉える一方で、彼らの個性や成長の過程として受け止めることも大切です。時には、その癖が健康や成長に悪影響を及ぼすこともあるため、保護者として知識を持ち、適切な対応をとることが求められます。

しかし、最終的には、保護者の愛情深い目線と、子供たちの自発的な気づきや努力が一番の解決策となります。子供たちが健やかに、自分らしさを大切にしながら成長していくためには、我々大人がしっかりとサポートし、一緒にその過程を楽しむことが大切です。各々の家庭での笑顔溢れる日常と、子供たちの輝く未来を祈念して、この記事を締めくくりたいと思います。

帯広 歯科 歯学博士 歯科医師 いしかわ歯科

医院長 石川

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