【帯広の歯学博士が提唱】大人の問題だけじゃない!子どもの「強い歯と顎」を育てる唾液と噛む習慣(唾液シリーズ第4回)
26.08.26(水)
帯広市のいしかわ歯科(歯科医師・歯学博士)が、子どものお口の健康育成における「唾液」の極めて重要な役割について解説します。よく噛む習慣や正しいコップ飲みが、どのように唾液の分泌を促し、むし歯に負けない強い歯と立派な顎の成長に繋がるのか、親御さんにぜひ知っていただきたいポイントをお伝えします。
■ はじめに:子どもたちにも「唾液不足」の波が押し寄せている?
こんにちは。北海道帯広市の「いしかわ歯科」院長(歯科医師・歯学博士)です。
前回の第3回では、唾液の減少(ドライマウス)がご高齢の方の誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)を引き起こすという、命に関わるリスクについてお話ししました。「唾液の問題は、大人やシニア世代のもの」と思われた方も多いかもしれません。
しかし、第4回となる今回は、ガラリと視点を変えます。テーマは「子どもたちと唾液の深い関係」です。
実は近年、当院でお子様のお口を拝見していると、十分に唾液が分泌されておらず、お口の中が乾き気味になっているケースが非常に増えていると感じます。これは、現代の食生活の変化や呼吸のクセが大きく影響しています。
お子様の「唾液不足」は、単にむし歯になりやすくなるだけでなく、将来の歯並びや全身の健やかな発育にまで悪影響を及ぼす、絶対に見過ごしてはいけない問題なのです。
■ 生えたての未熟な歯を「大人の強い歯」に育てる天然のコーティング剤
乳歯から永久歯への生え変わりが始まる時期、親御さんにはぜひ知っておいていただきたいことがあります。それは、「生えてきたばかりの永久歯は、まだ完全に硬くなっていない未熟な状態である」ということです。
生えたての歯は、表面が粗く、酸に対する抵抗力が非常に弱いため、あっという間にむし歯になってしまいます。この未熟で無防備な歯を、何年もかけてカチカチの「大人の硬い歯」へと育ててくれるのが、他でもない「唾液」なのです。
第2回のブログでも解説した通り、唾液には歯から溶け出したカルシウムやリンなどのミネラルを補給する「再石灰化(さいせっかいか)」という素晴らしい働きがあります。
たっぷりの唾液が、生えたての未熟な歯を24時間休むことなく優しくコーティングし、ミネラルを与え続けることで、子どもの歯は少しずつ強く、酸に負けない丈夫な歯へと「育成」されていきます。
つまり、唾液が少ないお口環境では、歯が十分に育つ前にむし歯菌の猛威にさらされ、取り返しのつかないダメージを受けてしまうのです。
■ 「よく噛むこと」が唾液のスイッチを押し、顎を大きく育てる
では、お子様の唾液をしっかりと分泌させるには、どうすれば良いのでしょうか?
最も効果的で、かつ極めて重要な自然のスイッチが「よく噛んで食事をすること」です。
ハンバーグやカレー、うどんなど、現代の子どもたちが好むメニューは、あまり噛まなくても飲み込めてしまう「柔らかい食べ物」ばかりです。しかし、噛む回数が減ると、脳への刺激が減り、唾液腺からの唾液の分泌量もガクッと落ちてしまいます。
さらに、「噛む習慣」は唾液を出すだけでなく、顎(あご)の骨の正常な成長を促すための「筋トレ」でもあります。
硬いものや食物繊維の多い根菜類をしっかり噛み砕くことで、顎の筋肉が発達し、それに引っ張られるようにして顎の骨が大きく成長します。顎が立派に成長すれば、これから生えてくる大きな永久歯が綺麗に並ぶスペースが確保され、将来の歯並びの悪化(歯列不正)を防ぐことにも直結します。
「噛むこと」は、唾液を出して歯を硬くし、同時に綺麗な歯並びの土台を作る、まさに一石二鳥の健康育成なのです。
■ 唾液を奪う「ポカン口」と「正しいコップ飲み」の関係
もう一つ、お子様の貴重な唾液を奪ってしまう大きな原因が「口呼吸(ポカン口)」です。
テレビを見ているときやゲームに夢中になっているとき、お子様のお口がポカンと開いていないでしょうか?口呼吸をしていると、お口の中の水分がどんどん蒸発し、常にドライマウス状態になってしまいます。
お口をピタッと閉じて鼻で呼吸(鼻呼吸)をするためには、唇周りの筋肉(口輪筋)と、舌を正しい位置(上あごの裏側)に保つ筋力が必要です。
このお口周りの機能を正しく育てる第一歩として、当院が注目しているのが乳幼児期からの「正しいコップ飲み」の習慣です。
哺乳瓶やストローに頼りすぎず、コップのフチを上唇でしっかり捉えてすするように飲むトレーニングを重ねることで、お口を閉じる力が育ちます。お口をしっかり閉じることができれば、自然と鼻呼吸になり、お口の中は常にたっぷりの唾液で潤い続けるのです。
■ 次回の予告:自宅でできる「唾液力」アップの実践法
今回は、お子様の強い歯と顎を育てるためには、ご家庭での「噛む習慣」や「お口を閉じる習慣」の育成が欠かせないというお話をしました。親子で一緒に、毎日の食事のメニューや、テレビを見ているときのお口元を、ぜひチェックしてみてください。
さて、次回(第5回)は、大人も子どもも明日からすぐに実践できる「【帯広の歯学博士が伝授】1日3分で『唾液力』アップ!自宅でできる3つの対策と“セルフケアの限界”」についてお伝えします。
具体的な唾液腺マッサージの方法なども詳しくご紹介しますので、ご家族皆様でお試しいただける内容となっております。どうぞお楽しみに!
■ まとめ&よくある質問
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Q. 子どものむし歯予防に、唾液はどのくらい関係していますか?
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A. 非常に深く関係しています。生えたての未熟な永久歯は、唾液の中に溶け込んでいるミネラル成分を吸収(再石灰化)し続けることで、数年かけて強く硬い大人の歯へと成長します。唾液が少ないと、この「歯を強くするプロセス」が止まってしまい、あっという間にむし歯になってしまいます。
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Q. 子どもの唾液を増やし、お口の機能を育てるにはどうすればいいですか?
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A. 一番の基本は「よく噛む食事」を心がけることです。食材を少し大きめに乱切りにしたり、噛みごたえのある食材を取り入れたりして、自然と噛む回数が増える工夫をしましょう。また、お口がポカンと開いていると唾液が乾いてしまうため、正しい「コップ飲み」などを通じて唇の筋力を育て、お口を閉じた「鼻呼吸」を習慣づけることも極めて重要です。
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この記事を書いた人
いしかわ歯科 院長
【帯広】いしかわ歯科 院長:石川
(歯科医師・歯学博士)
帯広市で20年以上にわたり地域医療に従事。「予防に勝る治療なし」をモットーに、子供から大人まで、科学的根拠に基づいた歯科治療を提供している。
ご予約・お問い合わせ
[電話番号] 0155-35-2442
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