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歯が溶けるpHについて教えて。虫歯と酸食症の違いについて教えて!

23.10.05(木)

歯が溶けるpHについて教えて。虫歯と酸食症の違いについて教えて!

こんにちは、皆さん。今日は、歯が溶けるpHについて、そして虫歯と酸蝕症の違いについて詳しく解説します。

まず、pHとは何かを理解することから始めましょう。pHは、物質の酸性度を示す値です。pH7は中性を示し、7より小さい数値は酸性度が強いことを、7より大きい数値はアルカリ度が強いことを意味します。歯の表面を覆っているエナメル質は、pH5.5以下の環境で溶け始めると言われています。

このエナメル質が溶ける現象を「酸蝕症」と呼びます。酸蝕症の初期症状として、歯の表面に白濁した斑点や凹凸が現れることがあります。

では、酸蝕症と虫歯はどのように異なるのでしょうか。

 

  • 原因

虫歯: 虫歯は、歯垢(プラーク)に含まれる細菌が糖分を分解する過程で酸を産生します。この酸が歯のエナメル質を溶かし、時間とともに歯の内部へと進行していきます。特に、ストレプトコッカス・ミュータンスという細菌が虫歯の主要な原因とされています。この細菌は、糖分を摂取すると急速に酸を産生し、歯のエナメル質を攻撃します。定期的な歯磨きやフッ素の使用、糖分の摂取を控えることで、この酸の産生を抑えることができます。

酸蝕症: 酸蝕症は、飲食物や一部の薬、胃酸などの外部からの酸に歯が長時間さらされることで発症します。特に、炭酸飲料や果物の酸、ワインなどのアルコール飲料、また、胃逆流症や摂食障害による嘔吐などで胃酸が口腔内に入ることも酸蝕症の原因となります。酸蝕症は、酸によって歯のエナメル質が直接溶かされるため、歯の表面が滑らかで光沢がなくなったり、凹凸が生じたりします。酸の接触を最小限に抑えることや、酸性飲食物の摂取後は水で口をすすぐことで、酸蝕症のリスクを低減することができます。

  • 発症部位

虫歯: 虫歯は、初期段階では歯の表面、特にエナメル質に発症します。この段階では、白く濁った斑点や微小な穴が見られることがあります。しかし、予防や治療が適切に行われないと、虫歯は歯の内部、デンチン層へと進行します。デンチンはエナメル質よりも柔らかく、虫歯菌の侵入を受けやすいため、一度虫歯がデンチン層に到達すると、進行が早まることが多いです。さらに進行すると、歯の中心部にある歯髄まで影響を及ぼすことがあり、この段階になると激しい痛みを伴うことが多くなります。

酸蝕症: 酸蝕症は、初期には歯の表面のエナメル質が酸によって溶かされることから始まります。この時、歯の表面が滑らかでなくなったり、光沢が失われたりします。酸の影響が継続すると、エナメル質がさらに溶け、次第にデンチン層が露出します。デンチンはエナメル質よりも多孔性があり、酸に対して脆弱です。したがって、デンチンが露出すると、酸蝕症の進行が加速します。デンチン層がさらに侵されると、歯の感度が高まり、冷たいものや甘いものを摂取した際に痛みを感じるようになることがあります。

 

  • 症状

虫歯:

虫歯の初期症状は、しばしば目立たないものから始まります。歯の表面が白く濁るこの白斑は、エナメル質のミネラルが失われている状態を示しています。この段階での適切なケアやフッ素の適用により、再石灰化が可能で、虫歯の進行を防ぐことができます。

 

しかし、予防措置が取られない場合、エナメル質がさらに侵され、小さな穴(キャビティ)が形成されます。このキャビティは時間とともに大きくなり、デンチン層や歯髄に到達すると、痛みを伴うようになります。特に、甘いものや冷たいものを摂取した際の痛みが特徴的です。さらに進行すると、歯髄炎や歯根尖周囲炎などの感染症を引き起こすリスクが高まります。

 

酸蝕症:

酸蝕症の初期症状は、歯の表面の光沢の喪失や、滑らかでなくなることから始まります。これは、エナメル質が酸によって部分的に溶けているためです。次第に、歯の表面に凹凸や溝が形成され、中央部が欠けやすくなります。

 

酸蝕症が進行すると、エナメル質が完全に失われ、デンチン層が露出します。デンチンはエナメル質よりも感受性が高いため、冷たいものや熱いもの、甘いもの、酸っぱいものを摂取した際に、鋭い痛みを感じることがあります。さらに、デンチンが大きく侵されると、歯の神経が露出し、感染のリスクが増加します。

  • 予防法

虫歯の予防

  1. 定期的な歯磨き:1日2回以上の歯磨きを心がけることで、歯垢や食べ残しを取り除き、虫歯のリスクを低減できます。
  2. フッ素の使用:フッ素はエナメル質を強化し、酸による溶解を防ぐ効果があります。フッ素入りの歯磨き粉やマウスウォッシュの使用が推奨されます。
  3. 定期的な歯科検診:早期の虫歯を発見し、治療することで、進行を防ぐことができます。
  4. 食事の工夫:糖分の多い食品や飲料の摂取を控えめにし、食事の後は口をすすぐなどの習慣をつけることが効果的です。
  5. 歯間ブラシやデンタルフロスの使用:歯ブラシだけでは届きにくい歯間部分の清掃も重要です。

酸蝕症の予防

  1. 水での口すすぎ:酸性の飲食物を摂取した後は、水で口をすすぐことで、口腔内のpHを中和し、エナメル質の溶解を防ぐことができます。
  2. 食後の歯磨き:食後30分以内の歯磨きは避けることが推奨されます。酸によってエナメル質が一時的に軟化するため、すぐの歯磨きはエナメル質を削る原因となることがあるからです。
  3. 中和作用のあるガムの噛用:無糖のガムを噛むことで、唾液の分泌が促され、口腔内のpHを中和する助けとなります。
  4. 酸性飲食物の摂取制限:特に空腹時の酸性飲食物の摂取は避けるようにしましょう。
  5. ストローの使用:酸性の飲料を摂取する際にストローを使用することで、直接的な歯への接触を減少させることができます。
  6. 酸蝕症の原因となる飲食物としては、炭酸飲料や果汁、スポーツドリンク、酢、ヨーグルト、柑橘類などが挙げられます。これらの飲食物を摂取する際は、注意が必要です。

 

歯の健康は、全身の健康にも密接に関連しています。虫歯と酸蝕症は、どちらも適切なケアと予防によって回避できる疾患です。日常生活の中での正しい歯磨きや食生活の工夫、そして定期的な歯科検診は、これらの疾患を予防する鍵となります。皆さんの歯が一生健康であり続けるために、今日からでも適切なケアを始め、正しい知識を身につけることの重要性を忘れないでください。健康な歯は、美しい笑顔と共に、あなたの生活の質を高める大切な宝物です。

 

帯広 歯科 歯学博士 歯科医師 いしかわ歯科

医院長 石川

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