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【歯科医師・歯学博士が解説】ハッキリお喋りできる子に!言葉の発達を支えるお口周りの筋肉トレーニング~1歳からの健口育成ステップアップ編2~

26.05.26(火)

こんにちは。帯広市のいしかわ歯科です。

前回は「手づかみ食べと前歯の役割」についてお話ししました。1歳から3歳にかけての時期は、歩き始めるだけでなく、「まんま」「パパ」「ブーブー」といった言葉が出始め、少しずつお喋りが上達していく、パパ・ママにとっても非常に愛おしく、成長を感じられる時期ですね。

今回は、そんな「言葉の発達」と「お口周りの筋肉」の深い関係についてお話しします。

「うちの子、まだ言葉がハッキリしなくて…」「サ行やタ行が言いにくそう」と心配される親御さんは少なくありません。実は、歯科医師の視点から見ると、「滑舌良くハッキリ喋ること」は、お口周りの筋肉(口輪筋や舌の筋肉)の発達と密接に関わっているのです。


発音(滑舌)とお口の筋肉の深い関係

私たちが言葉を発する時、肺からの空気を声帯で震わせるだけでなく、「唇」「舌」「頬」の筋肉を複雑かつスピーディーに動かして音の形を作って(構音)います。

特に、日本語の多くの子音は、お口の筋肉がしっかりしていないと正しく発音できません。

  • パ行・バ行・マ行: 唇をしっかり「んっ」と閉じてから破裂させる力が必要です。唇を閉じる力(口輪筋)が弱いと、空気が漏れてフワッとした音になってしまいます。

  • タ行・ダ行・ナ行・ラ行: 舌の先を上あご(前歯の裏あたり)にピタッとくっつけて弾く力が必要です。舌を持ち上げる筋肉(舌筋)が弱いと、これらの音が不明瞭になります。

  • サ行: 歯と歯の隙間から細く息を出すため、下あごの位置を安定させる力と、繊細な息のコントロールが必要です。

つまり、お口周りの筋肉が未発達だと、脳が「パパ」と言おうとしていても、お口の装置がうまく動かずに「アア」に近い音になってしまうのです。

お口ポカン(口呼吸)は滑舌の最大の敵?

0歳児シリーズでもお伝えした「お口ポカン(口呼吸)」の癖があるお子様は、日常的に唇が開いており、舌も下あごにダラリと落ちている(低位舌)状態です。この状態が続くと、唇を閉じる力も、舌を持ち上げる力も育ちにくくなり、結果として「発音がハッキリしない」「舌っ足らずな喋り方が抜けない」という影響が出やすくなります。


遊びながらできる!お口の機能トレーニング(MFTの基礎)

「筋肉のトレーニング」と聞くと難しそうに感じますが、1〜3歳のお子様に対して厳しい訓練をする必要は全くありません。毎日の「遊び」の中で、楽しくお口周りの筋肉を鍛えることができます。歯科ではこれを口腔筋機能療法(MFT)の基礎としてお伝えしています。

十勝の広い公園や、お風呂での親子のふれあいタイムに、ぜひ以下の遊びを取り入れてみてください。

1. 吹く遊び(唇の力と呼吸のコントロール)

唇をすぼめて長く息を吐く動作は、口輪筋を鍛え、お口ポカンの改善に絶大な効果があります。

  • しゃぼん玉: 最初は吹くのが難しくても、ストローの先を細く潰すなどして「フーーッ」と息を長く吐く練習になります。

  • 吹き戻し(ピーヒャラ笛): 100円ショップなどで買える昔ながらのおもちゃです。息を強く吐き続ける力が鍛えられます。

  • 風車・ラッパのおもちゃ: 楽しく音を鳴らしたり回したりすることで、自然と肺活量と唇の力がつきます。

2. 舌を動かす遊び(舌の筋力アップ)

舌の筋肉は「見えないインナーマッスル」です。遊びの中で意識的に動かしましょう。

  • あかんべー遊び: 舌を思い切り下に出す「あかんべー」や、鼻の頭に舌をくっつけようとする遊びで舌の可動域を広げます。

  • 馬の足音(舌打ち): 舌全体を上あごに吸い付け、「ポンッ!」と音を鳴らします。タ行やラ行をきれいに発音するための強力な舌のトレーニングになります。

3. お顔の体操(表情筋のトレーニング)

  • にらめっこ・変顔遊び: ほっぺたをぷーっと膨らませたり、思い切り「イー」と口を横に引いたり、親子で変顔を見せ合いっこしましょう。表情筋全体が刺激されます。


毎日の「食事」が最高のボイストレーニング

特別な遊びをしなくても、毎日3回の「食事」の時間を工夫するだけで、お口の筋肉はどんどん鍛えられます。

前回お話しした「手づかみ食べで前歯を使うこと」はもちろんですが、奥歯が生え揃ってきたら、少しずつ「噛み応えのある食材」を取り入れていきましょう。

パンやうどん、ハンバーグといった柔らかいメニューばかりではなく、帯広・十勝が誇る新鮮な根菜類(少し大きめに切ったニンジンやゴボウ)、繊維質のお野菜、干し芋などをメニューに加えてみてください。しっかりと噛み砕いて飲み込む動作そのものが、お口周りの筋肉と顎の骨を育て、結果的に「明瞭な発音」を支える土台となります。

また、水分補給の際の「コップ飲み」も、唇をしっかり閉じる練習として非常に有効です。


焦らず、お子様のペースを見守りましょう

1〜3歳の時期は、言葉の理解力や発音の明瞭さに非常に大きな個人差があります。サ行やラ行が上手に言えるようになるのは、4〜5歳頃になるのが一般的です。

「ちゃんと言いなさい」と発音の誤りを厳しく指摘してしまうと、お子様がお喋りすること自体に自信をなくしてしまうことがあります。「上手にお口を動かしているな」と大らかな気持ちで見守り、親御さんがゆっくり、ハッキリとした正しい発音でお返事をしてあげることが一番のサポートです。

もし、3歳を過ぎても「お口がいつも開いている」「極端によだれが多い」「食べ物を丸呑みしている」「特定の音が全く出せない」など、ご不安なことがあれば、決して一人で抱え込まずにいしかわ歯科へご相談ください。歯の生え方や噛み合わせ、お口の機能発達のプロフェッショナルとして、一緒に解決策を見つけていきましょう。


【いしかわ歯科からのお知らせ】

当院では、患者様により快適に受診していただけるよう、2026年2月より新しい電子カルテシステムを導入し、自動精算機も稼働を開始いたしました。お会計の待ち時間が短縮され、お子様連れでもよりスムーズにご案内が可能となっております。

また、4月より診療時間が一部変更となり、土曜午後が隔週で休診となります。ご来院の際はご確認をお願いいたします。


この記事を書いた人

いしかわ歯科 院長

【帯広】いしかわ歯科 院長:石川

(歯科医師・歯学博士)

帯広市で20年以上にわたり地域医療に従事。「予防に勝る治療なし」をモットーに、子供から大人まで、科学的根拠に基づいた歯科治療を提供している。

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※本記事は情報提供を目的としており、個別の診療行為に代わるものではありません。お子様の呼吸や歯並びに関するご不安は、歯科医師または専門医にご相談ください。