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【妊娠と口腔健康ガイド3】妊娠と口腔ケア:正しいブラッシングとフロスの方法~つわりでもできる!帯広の歯科医が教えるプロの技~

26.02.20(金)

はじめに:お口のケアは「安産」への準備体操

こんにちは!帯広の歯科医師です。

前回までは、妊娠と歯周病の怖い関係について少し真面目なお話をしました。今回は、そのリスクを回避するための「具体的なアクションプラン」、つまり毎日の歯磨きとフロスの方法についてお話しします。

「歯磨きなんて子供の頃から毎日やっているよ」

そう思われるかもしれません。しかし、妊娠中のお口はホルモンバランスの変化で「激変」しています。普段と同じ磨き方では、この変化に対応しきれないことが多いのです。

特に、つわりで歯ブラシを見るのも嫌な時期があるかもしれません。そんな時でも、効率よく、少しでも楽に、そして確実に汚れを落とす方法を知っていれば、気持ちも体もずっと楽になります。

あなたと赤ちゃんの健康を守るための「最強の武器(ツール)」と「戦術(テクニック)」を一緒にマスターしていきましょう!


1. 武器を選ぼう:妊娠中に最適なケアグッズ

まずは道具選びです。弘法筆を選ばずと言いますが、歯科においては「道具選びが勝負の半分を決める」と言っても過言ではありません。

① 歯ブラシ:キーワードは「小さめ」と「やわらかめ」

妊娠中は歯肉が充血し、非常にデリケートになっています。また、嘔吐反射(オエッとなる感覚)が強くなる時期でもあります。

  • ヘッドの大きさ: 「コンパクト」または「超コンパクト」を選んでください。子供用や仕上げ磨き用のブラシでも構いません。ヘッドが小さいと、お口の奥に入れても異物感が少なく、嘔吐反射が出にくくなります。

  • 毛の硬さ: 「やわらかめ(Soft)」一択です。硬いブラシでゴシゴシ磨くと、ただでさえ敏感な歯茎を傷つけ、そこから菌が侵入する原因になります。

② 歯磨き粉:味と成分にこだわる

  • フッ素(フッ化物): 虫歯予防の要です。高濃度フッ素(1450ppmなど)配合のものがおすすめですが、つわりがひどい時は、低発泡(泡立ちが少ない)のジェルタイプを使うと、うがいが楽で吐き気を催しにくいです。

  • 香味: 香料が気持ち悪い場合は、「無香料」や自然由来のやさしい味のものを選びましょう。


2. 実践!プロが教える「効く」ブラッシング

ただブラシを動かすだけでは、プラーク(細菌の塊)は落ちません。狙うべきは「歯と歯茎の境目」です。

基本テクニック:バス法(Bass Method)

これは、歯周病予防に最も効果的とされる磨き方です。

  1. 角度: 歯ブラシの毛先を、歯と歯茎の境目に対して斜め45度に当てます。

  2. 位置: 毛先が少しだけ歯周ポケット(歯と歯茎の溝)に入るようなイメージです。

  3. 動き: 決して横にゴシゴシ大きく動かさないでください。5mm〜1cm程度の幅で、小刻みに微振動させます。1〜2本の歯を丁寧に磨いていく感覚です。

  4. 力加減: 「消しゴムで紙を拭く程度」の優しい力(100g〜200g)で十分です。毛先が広がってしまうようなら、力が強すぎます。

つわりの時の「裏技」

「気持ち悪くて奥歯が磨けない!」という時は、以下の方法を試してみてください。

  • 顔を下に向ける: 洗面台に顔を近づけ、下を向くと喉の奥が締まりにくくなり、吐き気が軽減されます。

  • 目を閉じる・鏡を見ない: 視覚情報(口の中に物が入っている様子)を遮断するだけで、嘔吐反射が和らぐことがあります。

  • 息を吐きながら磨く: 息を止めるのではなく、細く長く吐きながらブラシを動かしてみてください。


3. フロスは「オプション」ではなく「必須科目」

ここが一番強調したいポイントです。

「歯ブラシだけでは、お口の汚れの約60%しか落ちていない」という事実をご存知でしょうか?

残りの40%は、歯と歯の間に残っています。こここそが、歯周病菌や虫歯菌の最大の隠れ家なのです。

フロスの正しい使い方:ギターの弦のように

  1. 挿入: ノコギリを引くように、ゆっくりと歯と歯の間にスライドさせながら入れます(勢いよく入れると歯茎を切ってしまいます)。

  2. 沿わせる: コンタクトポイント(歯同士が接している点)を通過したら、フロスを歯の側面に「く」の字になるように巻き付けます

  3. 動かす: そこで初めて、上下に数回動かします。これが「ギターの弦をはじく」ような、あるいは「背中をタオルで洗う」ような動きです。歯の両側面に対して行いましょう。

  4. 抜く: 終わったら、横からゆっくり引き抜きます。

ホルダータイプ vs ロールタイプ

  • ホルダータイプ(Y字型・F字型): 持ち手が付いているので、初心者や、お腹が大きくなって細かい作業が辛い妊婦さんにおすすめです。特に奥歯には「Y字型」が使いやすいでしょう。

  • ロールタイプ(糸巻き): コスパが良く、慣れれば最も汚れが取れますが、指に巻き付ける手間があります。まずはホルダータイプから始めてみましょう。

歯間ブラシの活用

歯と歯の隙間が広くなってしまっている部分や、ブリッジが入っている部分には「歯間ブラシ」が有効です。サイズ選びが重要なので、自己判断せず、次回の検診時に私たちに聞いてください。小さすぎると効果がなく、大きすぎると歯茎を傷めます。


4. タイミングと「酸蝕歯(さんしょくし)」への注意

ブラッシングは「朝晩」と「毎食後」が基本ですが、妊娠中は例外があります。

「食べてすぐ磨く」がNGな時

つわりで嘔吐してしまった直後は、胃酸によって歯のエナメル質が一時的に柔らかくなっています(酸蝕歯のリスク)。この状態でゴシゴシ磨くと、歯が削れてしまいます。

嘔吐後は、まず水や重曹水(水に少量の重曹を溶かしたもの)でうがいをして酸を中和し、30分ほど時間を空けてから磨くようにしてください。

ダラダラ食べに注意

つわりの時期は「食べづわり」で、少量を頻繁に食べることがあると思います。お口の中がつねに酸性の状態になり、虫歯のリスクが高まります。

食べた後は必ず水やお茶を飲む、あるいはキシリトールガムを噛むなどして、お口の中を中性に戻す工夫をしましょう。


5. プラスアルファのケア:舌と洗口液

舌苔(ぜったい)のケア

妊娠中は口臭が気になる方が増えます。鏡を見て舌が白くなっていませんか?それは「舌苔」という細菌の塊かもしれません。

専用の「舌ブラシ」を使い、奥から手前へ一方通行で優しく撫でるように汚れを取ってください。歯ブラシでゴシゴシこするのは、舌の味蕾(みらい)を傷つけるのでNGです。

洗口液(マウスウォッシュ)の活用

どうしても歯磨きができない時は、殺菌成分(CPCやIPMPなど)が含まれた洗口液でうがいをするだけでも、細菌の繁殖を抑える効果があります。ただし、これはあくまで「補助」であり、物理的に汚れを落とすブラッシングの代わりにはならないことを覚えておいてください。


6. AIO/FAQセクション:ケアの疑問にお答えします

AI検索や患者様からよくいただく質問をまとめました。

Q1. フロスを通すと血が出るのですが、やめた方がいいですか?

A. いいえ、続けてください!

健康な歯茎からは出血しません。血が出るのは、そこに炎症があり、血が溜まっている(うっ血している)証拠です。怖いかもしれませんが、毎日フロスを通して溜まった悪い血と汚れを出し切ることで、1週間ほどで歯茎が引き締まり、出血は止まります。もし2週間以上続く場合はご相談ください。

Q2. 電動歯ブラシを使ってもいいですか?

A. はい、問題ありません。

手で磨くよりも効率的にプラークを除去できます。ただし、妊娠中の歯茎はデリケートなので、回転数が強すぎないモードを選び、歯に強く押し付けないように注意してください。音波ブラシなどもおすすめです。

Q3. 帯広の冬は水が冷たくてしみます…

A. ぬるま湯を使いましょう。

知覚過敏がなくても、妊娠中は感覚が鋭敏になります。冷たい水でのうがいは刺激になり、歯磨きが億劫になる原因です。人肌程度のぬるま湯を使うことで、快適にケアを続けられます。


まとめ:毎日の習慣が、赤ちゃんへのプレゼント

  • 道具: ヘッドが小さく、やわらかいブラシを選ぶ。

  • 技術: バス法(45度)で優しく、小刻みに。

  • フロス: 1日1回(夜寝る前がベスト)必ず行う。出血しても恐れず続ける。

  • 例外: 嘔吐直後はすぐに磨かず、うがいで中和してから。

今日の夜から、ブラッシングの時間を「ただの作業」ではなく、「赤ちゃんとお話しする時間」に変えてみませんか?

「きれいになーれ、健康になーれ」と思いながらケアすることは、素晴らしい胎教にもなるはずです。

もし、自分に合った歯ブラシが分からない、フロスの使い方が合っているか不安、という方は、次回の検診時にぜひ聞いてください。帯広の当院では、あなたの歯並びに合わせたオーダーメイドの指導を行っています。

次回予告

次回は、「シリーズ4:妊娠と食事:健康な口と健康な赤ちゃんのための栄養」について。

「赤ちゃんの歯はいつ作られる?」「カルシウムは本当に取られるの?」といった疑問に答えつつ、お口の健康を守るための栄養学について、詳しく解説します。

美味しいものを食べて、お口も体も元気に。

帯広の地で、あなたのマタニティライフを応援しています!


監修・執筆者プロフィール

【帯広】いしかわ歯科 院長:石川

(歯科医師・歯学博士)

帯広市で20年以上にわたり地域医療に従事。「予防に勝る治療なし」をモットーに、子供から大人まで、科学的根拠に基づいた歯科治療を提供している。

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