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寝ている子どもの「歯ぎしり」は放置で大丈夫? 原因と3つの対処法

26.01.05(月)

お子さんが寝ている時、「ギリギリ」という大きな音がして、驚いたことはありませんか?

「子どもの歯ぎしりは成長の証だから大丈夫」という話も聞くけれど、いつまで続くのか、大切な永久歯が削れてしまわないか、顎の成長に悪影響はないのか…と、親御さんの不安は尽きないものです。

実は、子どもの歯ぎしりは、その多くが一過性で心配のない「生理現象」です。しかし、中には注意が必要なサインや、将来の顎関節症リスクを隠しているケースもあります。

この記事では、歯科医師・歯学博士の視点から、子どもの歯ぎしりの主な原因、「放置して大丈夫なケース」と「受診すべき目安」、そしてご家庭で今日から実践できる具体的な3つの対処法を詳しく解説します。

お子さんの健やかな成長を見守るための、正しい知識としてお役立てください。

1. 子どもの歯ぎしり、その実態と「放置で大丈夫」な理由

1-1. 9割以上の子どもに起きる現象:成長の一過程

多くの親御さんが心配される子どもの歯ぎしりですが、実は幼児期から小学校低学年にかけての子どもたちの9割以上が経験すると言われています。これは、ストレスや病気が主な原因となる大人の歯ぎしりとは異なり、多くの場合が病的なものではなく、成長に伴う生理的な現象であるため、過度に心配する必要はありません。

特に乳歯の時期(3~6歳頃)に見られる歯ぎしりは、これから大きく成長する顎の骨や、永久歯へのスムーズな生え変わりを促すための、ある種の「調整運動」であると考えられています。この時期の乳歯は、大人の永久歯に比べて構造が柔らかく、削れやすい性質を持っています。乳歯が削れること自体よりも、それによって顎の運動が自由になり、骨の成長を促す役割の方が大きいのです。

1-2. なぜ音が鳴る?歯ぎしりの種類

一口に「歯ぎしり」と言っても、実は大きく分けて3つのタイプがあります。

  • グラインディング(Grinding):上下の歯をギリギリと強くこすり合わせるタイプ。親御さんが最も耳にする音の正体はこれです。

  • クレンチング(Clenching):音を立てずにグッと強く噛みしめるタイプ。音が出ないため気づきにくいですが、顎の筋肉に大きな負担がかかります。

  • タッピング(Tapping):上下の歯をカチカチと鳴らすタイプ。比較的稀なパターンです。

子どもの場合は、特に音が大きい「グラインディング」が多く見られるため、親御さんの不安を煽りがちです。

1-3. 乳歯列期・混合歯列期の歯ぎしりの役割

乳歯が生え揃い、永久歯への生え変わりが始まる「混合歯列期」にかけて、子どもの顎の骨や筋肉は急速に成長します。このダイナミックな成長過程で、「今ある噛み合わせ」と「これから作るべき理想的な噛み合わせ」との間に一時的なギャップが生じます。

歯ぎしりは、寝ている間に無意識のうちにこのギャップを修正し、適切な噛み合わせの位置を探り当てようとする本能的な行動だと考えられています。

2. 要注意!歯ぎしりの主な原因と背景にあるもの

生理的な役割を持つ子どもの歯ぎしりですが、その頻度や強さには、いくつかの原因が複雑に関わっています。これらの原因を知ることで、ご家庭での適切なサポートにつながります。

2-1. ストレスや心理的な緊張

子どもは大人と同じように、日中の出来事や環境の変化に対して敏感にストレスを感じています。特に、新しい学年やクラスへの適応、兄弟喧嘩、習い事のプレッシャーなどが、無意識下の緊張として蓄積し、睡眠中の歯ぎしりとなって現れることがあります。

心理的な緊張は、就寝中に顎の筋肉を過度にこわばらせ、歯ぎしりを引き起こす主要な原因の一つです。

2-2. 噛み合わせの変化と違和感

永久歯が生えてくる時期(6歳頃〜)は、口の中の環境が劇的に変化します。

  • 乳歯が抜け、永久歯が生えてくる途中のむず痒さや違和感

  • 歯の高さが揃っていないことによる、一時的な噛み合わせの不安定さ

これらの「口の中の異物感」や「不安定さ」を無意識に解消しようと、寝ている間に顎を動かす、つまり歯ぎしりをすることがあります。これは、少しでも噛み合わせを安定させようとする体の自然な反応です。

2-3. 遺伝的な要因と睡眠中の問題

歯ぎしりには、遺伝的な体質が関与している可能性も指摘されています。親御さんが子どもの頃に歯ぎしりがひどかった場合、お子さんにも同じ傾向が見られることがあります。

また、アレルギー性鼻炎やアデノイド肥大による鼻づまり、睡眠時無呼吸症候群などの睡眠中の呼吸の問題が、歯ぎしりの発生に関わっているケースも無視できません。呼吸が苦しくなることで、空気の通り道を確保しようと顎の位置が変わり、それを修正するために歯ぎしりをする、というメカニズムです。

3. 親御さんが知っておくべき「受診の目安」

基本的には成長過程の一環として見守って良い子どもの歯ぎしりですが、以下のサインが見られた場合は、歯科医院への受診を推奨します。

3-1. 放置せず歯科医院を訪れるべきサイン

チェック項目 危険度 解説・対策
歯の摩耗が非常に激しい 歯の先端が平らになり、中の象牙質(黄色い部分)が見えている状態。冷たいものがしみる知覚過敏や、虫歯の原因にもなります。
永久歯が生え揃った後も続く 10歳〜12歳を超えても歯ぎしりが続く場合、生理的なものではなく、大人の「病的な歯ぎしり」へ移行している可能性があります。
強い痛みや顎関節の異常 朝起きた時に「顎が痛い」「口が開けにくい」「カクカク音がする」と訴える場合、顎関節症の初期症状の可能性があります。
歯ぎしりにより睡眠が妨げられている 歯ぎしりの音で本人が何度も目を覚ます、日中の眠気が強く集中力がないなど、睡眠の質が著しく低下している場合。

これらの症状が見られる場合は、一度歯科医師による専門的なチェックを受けることをお勧めします。噛み合わせの調整や、場合によっては歯を保護するためのマウスピース(ナイトガード)の製作、睡眠の専門医との連携が必要になることがあります。

3-2. 大人と子どもの歯ぎしりの違い

大人の歯ぎしりは、主にストレスが原因で、歯や顎関節へのダメージが蓄積し、慢性的な頭痛や肩こり、歯の破折などを引き起こす「病的な側面」が強いです。一方、子どもの歯ぎしりの多くは「成長と調整の役割」が主です。

しかし近年は、子どもの世界もストレス社会となりつつあり、幼いうちから大人のようなダメージ型の歯ぎしりになっているケースも散見されます。「成長のための調整」なのか、「ストレスによるダメージ」なのかを見極めるのが、私たち歯科医師の重要な役割となります。

4. 今日からできる!家庭で取り組む3つの対処法

歯ぎしりの原因が多岐にわたるため、ご家庭での対処法も「心身のリラックス」と「睡眠環境の調整」に焦点を当てることが効果的です。

4-1. 対処法1:寝る前のリラックスタイムを確保する

最も効果的な対処法の一つは、就寝前に心身の緊張を和らげる「儀式」を作ることです。

  • デジタルデトックス: 就寝前の少なくとも1時間前には、スマートフォン、タブレット、ゲームなどの強い光刺激を避けましょう。脳が興奮状態になり、深い睡眠を妨げます。

  • 温かいお風呂: ぬるめのお湯にゆっくり浸かることで、副交感神経が優位になり、体がリラックスモードに切り替わります。

  • 安心感を与える関わり: 絵本の読み聞かせや、その日あった楽しかったことを穏やかに話す時間は、子どもに安心感を与え、日中の緊張を解放させます。

就寝前のリラックスは、良質な深い睡眠を促し、結果として歯ぎしりの頻度や強さを自然と減らすことにつながります。

4-2. 対処法2:環境を見直し、質の高い睡眠をサポートする

睡眠中の姿勢や呼吸環境を整えることも重要です。

  • 鼻呼吸の確認: 口呼吸は、舌の位置が下がり、顎の位置を不安定にしがちです。慢性的な鼻炎やアレルギーがある場合は、耳鼻咽喉科と連携し、スムーズな鼻呼吸ができるようサポートしましょう。

  • 適切な寝具: 枕が高すぎると、首が曲がり、気道が狭くなることで歯ぎしりを誘発することがあります。お子さんの体型に合った、寝返りを打ちやすい高さの枕を選びましょう。

4-3. 対処法3:定期的な歯科健診で噛み合わせをチェックする

特別な症状がなくても、3~6ヶ月に一度の定期健診は欠かせません。

歯科医師は、歯の削れ方や顎関節の動きを専門的な視点からチェックし、その歯ぎしりが「成長の範囲内」か、それとも「治療や介入が必要なレベル」かを客観的に判断します。

特に、永久歯への生え変わり時期は、噛み合わせがダイナミックに変化するため、プロによる「噛み合わせのチェック」や「経過観察」が、将来的な顎関節症や不正咬合の予防に繋がります。

5. まとめ:過度な心配は不要。しかし見守る姿勢は大切

子どもの歯ぎしりは、ほとんどの場合、成長という名のダイナミックな変化の証です。しかし、その裏にストレスや深刻な睡眠の問題が隠れている可能性もゼロではありません。

親御さんができる最良のサポートは、「大丈夫、元気に成長しているんだね」という温かい見守りの姿勢と、「少し気になる症状があるから、専門家に相談してみよう」という冷静な判断です。

今日からできるリラックスの習慣を取り入れつつ、定期的な歯科健診で専門家の目によるチェックを欠かさないことが、お子さんの健やかな口腔と全身の成長を支えることに繋がります。

不安なことがあれば、かかりつけの歯科医院で遠慮なくご相談ください。


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監修・執筆者プロフィール

【帯広】いしかわ歯科 院長:石川

(歯科医師・歯学博士)

帯広市で20年以上にわたり地域医療に従事。「予防に勝る治療なし」をモットーに、子供から大人まで、科学的根拠に基づいた歯科治療を提供している。

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