「歯が生えてこない」と心配な親御さんへ:乳歯・永久歯の生え替わり時期の目安と対処法
25.12.26(金)

目次
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はじめに:その「心配」は、お子様の未来を守る大切なアンテナです
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乳歯が生える時期の目安と「個人差」について
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生後6ヶ月から3歳頃までのスケジュール
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1歳を過ぎても生えない?「萌出遅延」とは
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6歳頃から始まる、ダイナミックな「生え替わり」の時期
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永久歯のエース、「6歳臼歯」の登場
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乳歯が抜けてから永久歯が生えるまでの「空白期間」の目安
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緊急!乳歯がまだあるのに永久歯が生えてきた(二枚歯)
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【歯科医師・歯学博士が解説】永久歯が生えてこない4つの主な原因
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原因①:先天性欠如(もともと歯の種がない)
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原因②:埋伏歯・異所萌出(迷子になって出てこられない)
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原因③:骨性癒着(アンキローシス:骨とくっついてしまった)
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原因④:乳歯の早期脱落による歯肉の硬化(出口が塞がった)
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「様子を見ましょう」で済ませてはいけない理由:将来の矯正治療への影響
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ご家庭でのチェックポイントと歯科医院受診のタイミング
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まとめ:帯広市で子育て中の皆様へ。定期検診が一番の近道です
1. はじめに:その「心配」は、お子様の未来を守る大切なアンテナです
子育て中の親御さんにとって、お子様の成長発達は喜びであると同時に、常に気がかりなことの連続でもあります。
特に、お口の中の出来事は目に見えやすいため、「同い年のお友達はもう永久歯が生えているのに、うちはまだ乳歯も抜けていない」「上の子の時はもっと早かった気がする」といった、周囲との比較や過去の経験から不安を感じることは、親心として当然のことです。
しかし、まずお伝えしたいのは、その「心配」こそが、お子様の口腔内環境を守るための非常に重要なアンテナであるということです。
乳歯から永久歯への生え替わりは、単に歯が入れ替わるだけでなく、お子様の将来の「噛む力(咀嚼機能)」「正しい発音」「顎の成長と顔立ち」を左右する、一生に一度の極めて重要なプロセスです。
この時期に、親御さんが小さな変化や違和感に気づき、適切なタイミングで専門家が介入できるかどうかが、将来的な歯並びや、大掛かりな矯正治療が必要になるかどうかに大きく影響します。
この記事では、歯学博士としての専門的な視点も交えながら、親御さんの不安を解消するための正しい知識をお伝えします。
2. 乳歯が生える時期の目安と「個人差」について
生後6ヶ月から3歳頃までのスケジュール
赤ちゃんの歯は、一般的に生後6ヶ月頃から、下の前歯(乳中切歯)を皮切りにかわいらしい姿を見せ始めます。その後、2歳半から3歳頃までにかけて、上下合わせて20本の乳歯が生え揃い、乳歯列が完成します。
| 歯の種類 | 生える時期(目安) | 抜ける時期(目安) |
| 下の前歯(乳中切歯) | 生後6〜9ヶ月頃 | 6〜7歳頃 |
| 上の前歯(乳中切歯) | 生後8〜11ヶ月頃 | 7〜8歳頃 |
| 犬歯(乳犬歯) | 1歳半〜2歳頃 | 10〜12歳頃 |
| 奥歯(第一・第二乳臼歯) | 1歳〜2歳半頃 | 9〜12歳頃 |
※この表はあくまで一般的な目安です。
大切なのは、歯の生える時期には身長や体重と同じように大きな個人差があるということです。半年程度のズレはよくあることで、健康上問題ないケースがほとんどです。焦らず見守ってあげましょう。
1歳を過ぎても生えない?「萌出遅延」とは
目安の時期から大幅に遅れる、例えば1歳のお誕生日を過ぎても最初の歯が生えてこないような場合を「萌出遅延(ほうしゅつちえん)」と呼ぶことがあります。
多くは体質や遺伝によるもので心配ありませんが、ごく稀に、生まれつき歯の数が足りない「先天性欠如」や、歯茎の中に歯の成長を妨げる何らかの原因(余分な歯や、硬い組織など)が隠れている可能性もゼロではありません。
1歳半健診などで指摘されることもありますが、1歳を過ぎても全く歯の兆候が見られず心配な場合は、一度小児歯科でご相談いただくと安心です。
3. 6歳頃から始まる、ダイナミックな「生え替わり」の時期
永久歯のエース、「6歳臼歯」の登場
永久歯への生え替わりドラマは、前歯が抜けることから始まると思われがちですが、実は違います。
多くの場合、6歳頃になると、まだ抜けていない乳歯の一番奥(第二乳臼歯)の後ろから、ひっそりと大きな永久歯が顔を出します。これが「6歳臼歯(第一大臼歯)」です。
この歯は、永久歯の中で最も大きく、噛む力の中心となり、将来の歯並びやかみ合わせの基準となる非常に重要な歯です。乳歯と入れ替わるのではなく、新しい場所に生えてくるため、親御さんが気づかないうちに生えてきて、虫歯になってしまうリスクが高い歯でもあります。仕上げ磨きの際は、一番奥も忘れずにチェックしてあげてください。
乳歯が抜けてから永久歯が生えるまでの「空白期間」の目安
その後、下の前歯から順に乳歯が抜け始め、12歳頃(小学校高学年から中学生頃)までに全ての歯が永久歯に置き換わります。
乳歯が抜けた後、歯茎にぽっかりと穴が開いている期間は、親御さんにとって不安な時期かもしれません。通常、永久歯は乳歯が抜けてから数週間、遅くとも3ヶ月程度で頭を出してきます。
もし、乳歯が抜けてから6ヶ月以上経過しても永久歯の白い頭が見えてこない場合は、何らかの原因で永久歯が出てこられない状況が疑われます。この場合は、放置せずに歯科医院でレントゲン検査を受けることを推奨します。
緊急!乳歯がまだあるのに永久歯が生えてきた(二枚歯)
「乳歯がまだグラグラもしていないのに、その内側(舌側)から大人の歯が生えてきた!」
これは「二枚歯」や、サメの歯のように二重に見えることから「シャークティース」とも呼ばれる状態で、小児歯科では比較的よく見られるトラブルです。
本来、永久歯は乳歯の根っこを溶かしながら真下から上がってくるため、乳歯は支えを失って自然に抜けます。しかし、永久歯の生える位置が少しずれてしまうと、乳歯の根が溶け残ってしまい、乳歯がしっかり残ったまま永久歯が生えてきてしまうのです。
この状態を長く放置すると、永久歯が本来の位置からずれたまま固定されてしまい、歯並びが悪くなる原因となります。自然に抜けるのを待つのではなく、早めに歯科医院で乳歯を抜歯する処置が必要です。
4. 【歯科医師・歯学博士が解説】永久歯が生えてこない4つの主な原因
「様子を見ましょう」と言われても不安が消えない親御さんのために、専門的な見地から「永久歯が生えてこない」主な原因を解説します。レントゲンを撮ることで、これらの原因はすぐに特定できます。
原因①:先天性欠如(もともと歯の種がない)
生まれつき永久歯の「歯の芽(歯胚)」が存在しない状態です。近年、増加傾向にあると言われており、10人に1人程度のお子様に見られる決して珍しくない現象です。
歯胚がない場合は、どんなに待っても永久歯は生えてきません。対策としては、今ある乳歯をできるだけ虫歯にさせずに長く使い続けることが最優先となります。将来的にその乳歯がダメになった場合は、矯正治療で隙間を閉じたり、ブリッジやインプラントなどの補綴(ほてつ)治療を計画的に行っていく必要があります。早期に分かっていれば、長期的な視点で治療計画を立てることができます。
原因②:埋伏歯・異所萌出(迷子になって出てこられない)
永久歯の「種」はあるけれど、顎の骨の中で横向きや逆さまになっていたり(埋伏歯)、他の歯の根っこや嚢胞(のうほう:液体の袋)などに邪魔をされて、正しい出口を見つけられない状態です。また、本来生えるべき位置から大きくずれて生えようとすることを「異所萌出(いしょほうしゅつ)」と言います。
これらを放置すると、生えてこないだけでなく、隣り合う健康な永久歯の根を溶かしてしまうなどの深刻な問題を引き起こすことがあります。多くの場合、矯正専門医と連携し、外科的に窓を開けて装置を付け、正しい位置へ引っ張り出す「牽引(けんいん)」という治療が必要になります。
原因③:骨性癒着(アンキローシス:骨とくっついてしまった)
通常、歯と顎の骨の間には「歯根膜(しこんまく)」というクッションのような繊維の膜があります。しかし、過去に強くぶつけた(外傷)などの影響で、乳歯の根っこが顎の骨と直接癒着(くっついて)してしまい、一体化してしまうことがあります。
こうなると、乳歯は生え替わりの時期がきてもグラグラせず、骨の中に埋まったまま動かなくなります。下から生えようとする永久歯の進路を塞いでしまうため、タイミングを見計らって癒着した乳歯を抜歯する必要があります。
原因④:乳歯の早期脱落による歯肉の硬化(出口が塞がった)
大きな虫歯や怪我などが原因で、本来の生え替わり時期よりもかなり早くに乳歯が抜けてしまった場合に見られる現象です。
歯が抜けた後の歯茎は、傷が治る過程で硬く厚い繊維質の歯肉になります。これが「頑丈なフタ」の役割をしてしまい、後から生えてくる永久歯がそのフタを突き破れず、出てこられなくなることがあります。この場合は、歯科医院で局所麻酔をし、硬くなった歯肉を少し切開して出口を作ってあげることで、スムーズな萌出を促すことができます。
5. 「様子を見ましょう」で済ませてはいけない理由:将来の矯正治療への影響
「いつか生えてくるだろう」と、自己判断で長期間放置することは、お子様の将来の口腔健康にとってリスクとなります。
歯の生え替わりは、顎の骨の成長発育と密接に連動しています。永久歯が適切な時期に適切な場所へ生えてくることで、顎の骨も正しく成長します。
もし、永久歯が生えてこないスペースが長く空いたままになると、両隣の歯がそのスペースに向かって倒れ込んできます。その結果、後から生えてくる永久歯のためのスペースが失われ、ガタガタの歯並び(乱杭歯、叢生)の原因となります。
早期に原因を特定し、小児歯科や矯正歯科の専門家が適切な時期に介入することで、将来的に抜歯を伴うような大掛かりな矯正治療を回避できたり、治療期間や費用を抑えたりできる可能性が高まります。生え替わりの時期は、矯正治療を開始する最適なタイミング(治療の適期)を見極める上でも、非常に重要な期間なのです。
6. ご家庭でのチェックポイントと歯科医院受診のタイミング
日頃の仕上げ磨きの際などに、以下のポイントをチェックしてみてください。一つでも当てはまる場合は、かかりつけの歯科医院にご相談ください。
【歯科医院を受診する目安】
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乳歯が抜けて、6ヶ月以上経過しても永久歯の頭が見えてこない。
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乳歯がまだしっかり残っているのに、その横や内側から永久歯が生えてきた(二枚歯)。
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6歳を過ぎても、一番奥に「6歳臼歯」が生えてくる気配がない。
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右側は生えているのに左側はまだ生えてこないなど、左右の生え替わりに半年以上の大きな差がある。
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周りの子と比べて、生え替わりが極端に遅い気がして心配だ。
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生え替わりの時期のはずなのに、対象の乳歯が全くグラグラしてこない。
7. まとめ:帯広市で子育て中の皆様へ。定期検診が一番の近道です
お子様の歯の生え替わりには、顔の形が違うように大きな「個性」があります。少しくらい遅くても、順番が違っても、最終的にきれいに生え揃えば問題ありません。
しかし、その「遅れ」や「違和感」の裏に、専門的な処置が必要な原因が隠れていることがあるのも事実です。これを見逃さないためには、定期的な歯科検診が最も有効な手段です。
レントゲンを一枚撮るだけで、顎の骨の中で待機している永久歯の数、位置、向き、成長具合をすべて把握することができます。原因さえ分かれば、私たちは適切な時期に適切なサポートを行い、お子様の歯を正しい成長の軌道へ導くお手伝いができます。
帯広市のいしかわ歯科では、歯科医師・歯学博士の専門的な立場から、大切なお子様の歯の成長を親御さんと一緒に見守ります。不安なこと、疑問なことがあれば、どんな些細なことでもお気軽にご相談ください。その「相談」が、お子様の将来の笑顔を守る大きな一歩となります。
監修・執筆者プロフィール
【帯広】いしかわ歯科 院長:石川
(歯科医師・歯学博士)
帯広市で20年以上にわたり地域医療に従事。「予防に勝る治療なし」をモットーに、子供から大人まで、科学的根拠に基づいた歯科治療を提供している。
ご予約・お問い合わせ
[電話番号] 0155-35-2442
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