歯科医師・歯学博士が教える!「子供が歯をぶつけた!」緊急時の判断と初期対応
25.12.19(金)
監修:いしかわ歯科 歯科医師・歯学博士 石川
目次
- はじめに:お子さんの緊急事態に冷静に対応するために
- 受診をためらわないで!「すぐに専門的な処置が必要」と判断すべき緊急性の高いケース
- ケース1:歯が完全に抜け落ちた(完全脱臼)
- ケース2:歯の折れ方が出血を伴う場合(複雑な破折)
- ケース3:歯ぐきや唇、顔面など、口腔周囲の傷が深い場合
- かかりつけ医に「翌営業日まで待てるか相談」できる可能性が高いケース
- ケース1:歯の欠け方が小さい(エナメル質のみの破折)
- ケース2:歯がグラグラしているが、痛みや出血が少ない
- ケース3:乳歯の打撲で、症状が軽度の場合
- 応急処置の「やるべきこと」と「やってはいけないこと」
- まとめ:不安な時はまずは「かかりつけ医」へ、そして「緊急窓口」の情報を確認
1. はじめに:お子さんの緊急事態に冷静に対応するために

お子さんが転んだり、スポーツ中に接触したりして「歯をぶつけた!」という事態は、親御さんにとって非常に心臓が凍るような出来事です。特に休日や診療時間外に起こると、「今すぐどうにかすべきか」「朝まで待っても大丈夫か」と判断に迷い、不安でいっぱいになることでしょう。
しかし、歯の怪我(歯の外傷)は、その後の治療の成否や、永久歯への影響を左右する時間との勝負になるケースが少なくありません。間違った判断や応急処置が、かえって治癒を妨げてしまうこともあります。
このブログでは、お子さんが歯をぶつけた際に、直ちに対応が必要か、それともかかりつけの歯科医院に相談できるかを判断するための明確な基準を、具体的な症状別に詳しく解説します。
2. 受診をためらわないで!「すぐに専門的な処置が必要」と判断すべき緊急性の高いケース
これらのケースは、一刻も早い専門的な処置が必要です。ためらわずに、緊急対応が可能な地域の救急歯科診療所や、対応可能な医療機関の情報を確認し、指示に従って受診してください。
ケース1:歯が完全に抜け落ちた(完全脱臼)
永久歯が根っこごと完全に抜け落ちてしまった場合(完全脱臼)は、30分以内に再植処置を行うことが、歯を救えるかどうかの最大のポイントになります。
- 対応: 抜け落ちた歯は、乾燥させないことが極めて重要です。
- 牛乳(成分無調整)の中に入れるか、難しい場合は生理食塩水または、やむを得ず口の中(頬と歯ぐきの間)に含んで乾燥を防ぎ、すぐに医療機関へ向かってください。水洗いしたり、歯の根の部分を触ったりするのは厳禁です。 乳歯の場合は、通常再植はしませんが、周囲の確認のため受診が必要です。
ケース2:歯の折れ方が出血を伴う場合(複雑な破折)
歯の破折面から鮮血が出ていたり、赤い点(歯の神経=歯髄)が見えていたりする場合です。
- 理由: 歯の神経が露出している状態であり、細菌感染のリスクが非常に高まります。感染が起こると、歯の神経が死んでしまい、将来的に歯が変色したり、根の先に膿がたまったりする原因になります。できる限り早く神経を保護する処置が必要です。
ケース3:歯ぐきや唇、顔面など、口腔周囲の傷が深い場合
口の中や周囲の皮膚がパックリと裂けているような深い傷、または出血が止まらない場合です。
- 理由: 傷の縫合が必要な場合があります。また、歯ぐきの奥の骨(顎の骨)にまで影響が及んでいる可能性も考慮する必要があるため、歯科口腔外科を標的とした専門医の判断が望まれます。
3. かかりつけ医に「翌営業日まで待てるか相談」できる可能性が高いケース
これらのケースでは、緊急性は低いものの、後日必ずかかりつけの歯科医院を受診して検査を受けてください。まずは、かかりつけの歯科医院に電話で状況を伝え、指示を仰ぎましょう。
ケース1:歯の欠け方が小さい(エナメル質のみの破折)
歯の表面を覆う硬い層(エナメル質)だけが、角が取れたように少し欠けた程度で、痛みや出血がほとんどない場合です。
- 対応: 欠けた部分が尖って舌や唇に当たらないように注意し、翌営業日以降、予約をして受診しましょう。尖った部分をなめらかにしたり、詰め物をしたりする処置が必要になります。
ケース2:歯がグラグラしているが、痛みや出血が少ない
歯の位置が少しずれたり(亜脱臼)、グラつきはあるものの、飲食時に軽い違和感がある程度で、強い痛みや大量の出血がない場合です。
- 対応: ぶつけた歯で噛まないように注意し、かかりつけ医に相談の上、翌営業日または休日明けに受診してください。レントゲン検査で歯の根や周囲の骨に異常がないかを確認し、必要に応じて歯を固定する処置を行います。
ケース3:乳歯の打撲で、症状が軽度の場合
乳歯をぶつけた際、歯が変色していない、歯ぐきからの出血も少量で止まっている、食事もできている場合です。
- 理由: 乳歯の打撲は、その後の永久歯の成長に影響を及ぼす可能性があるため、決して放置はできません。しかし、急激な処置よりも、まずは経過観察が優先されることが多いため、かかりつけ医に相談の上、休日明けに受診で問題ありません。ただし、歯が黒く変色したり、歯ぐきに膿の袋ができたりした場合は、再度受診が必要です。
4. 応急処置の「やるべきこと」と「やってはいけないこと」
【やるべきこと】
- 清潔にする: 口の中をゆすいで、出血や汚れを優しく洗い流す(強くゆすがない)。
- 冷却する: 腫れや痛みを抑えるため、ぶつけた部分の外側(頬など)から濡れタオルや保冷剤で冷やす。
- 脱臼した歯の保存: 上記の通り、牛乳などに浸して乾燥を防ぐ。
【やってはいけないこと】
- 抜けた歯をゴシゴシ洗う: 歯の根についている、再植に必要な細胞(歯根膜)を傷つけてしまいます。
- グラグラの歯を無理に戻す: 歯ぐきや骨をさらに傷つける恐れがあります。
- 痛み止めを自己判断で大量に飲ませる: 小児用の規定量を守りましょう。
5. まとめ:不安な時はまずは「かかりつけ医」へ、そして「緊急窓口」の情報を確認
お子さんの歯の怪我は、親御さんを非常に動揺させるものです。迷った時、不安な時は、まずかかりつけの歯科医院に電話で状況を説明し、指示を仰ぐのが最も安全で確実な方法です。かかりつけ医が対応できない場合でも、適切な医療機関や地域の緊急窓口を紹介してもらえる可能性があります。
「すぐに専門的な処置が必要なケース」に該当する場合は、ためらわずに地域の救急窓口や当番医の情報を活用しましょう。それ以外の場合も、歯の怪我は後遺症を残す可能性があるため、必ず後日小児歯科でレントゲン検査などの精密なチェックを受けるようにしてください。日頃から、かかりつけ医の連絡先や、お住まいの地域の休日・夜間救急歯科診療所の情報を把握しておくことが、いざという時の冷静な対応につながります。
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帯広市 歯科 歯学博士 歯科医師 いしかわ歯科
医院長 石川





