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まだ神経抜きたくない! 歯髄覆罩で歯を長持ちさせるヒミツ

25.02.18(火)

目次:

  • はじめに:歯の神経、できるなら残したい!
  • 歯髄覆罩って何?直接法と間接法の違い
  • どんな時に適応される?歯髄覆罩の適応と限界
  • どんな材料を使うの?歯髄覆罩の材料たち
  • 治療後の注意点:アフターケアで長持ちさせよう!
  • まとめ:歯髄覆罩で大切な歯を守りましょう!

はじめに:歯の神経、できるなら残したい!

こんにちは!今回は、虫歯治療で神経を抜かずに済ませたいとお考えの方にとって、非常に価値のある選択肢である「歯髄覆罩(しずいふくとう)」について、詳しくご紹介いたします。歯髄は、歯の中心部に位置し、血管や神経線維が豊富に含まれる組織で、歯に栄養を供給したり、痛みなどの感覚を伝えたりする重要な役割を担っています。一度失ってしまうと、歯は脆くなり、寿命も短くなってしまうため、できる限り保存することが望ましいです。歯髄覆罩は、この大切な歯髄を温存するための有効な治療法の一つであり、適切な処置を行うことで、大切な歯を長く健康に保つことが期待できます。

歯髄覆罩って何?直接法と間接法の違い

歯髄覆罩とは、虫歯の除去中に歯髄(歯の神経)が露出したり、露出する危険がある場合に、その神経を保護する治療です。主に以下の二つの方法があります。

  • 直接歯髄覆罩: 虫歯を除去する際に、偶発的に神経が露出してしまった場合に行います。露出した神経は細菌感染のリスクが高いため、露出面を清掃・消毒した後、カルシウム系の材料などの特殊な薬剤を直接塗布し、保護します。その後、詰め物で封鎖します。
  • 間接歯髄覆罩: 虫歯が神経に非常に近いものの、まだ露出していない場合に行います。神経に近づいている部分の虫歯を慎重に取り除き、神経を刺激しないように配慮しながら、保護材を塗布してから詰め物を行います。この方法により、神経の自然治癒を促し、第二象牙質の形成を誘導することで、神経を保護します。

どんな時に適応される?歯髄覆罩の適応と限界

歯髄覆罩は、特に以下のような場合に推奨されます。

  • 虫歯が神経に近いが、神経の炎症が軽度な場合
  • 偶発的な神経の露出で、汚染が少ない場合

しかし、以下のような状況では適用が困難です。

  • 強い痛みを伴う重度の炎症がある場合(不可逆性歯髄炎)
  • 神経への細菌感染が進行している場合
  • 歯髄の露出部が大きい場合
  • 過去に何度も治療を繰り返している歯
  • 全身状態や口腔衛生状態が不良な場合

これらの場合は、根管治療(神経を抜く治療)や抜歯が必要になることもあります。

どんな材料を使うの?歯髄覆罩の材料たち

歯髄覆罩には、以下のような材料が一般的に使用されます。それぞれの材料には特徴があり、症例に応じて使い分けられます。

  • 水酸化カルシウム: 古くから使用されている材料で、安価で入手しやすいです。神経の修復を促進する効果(第二象牙質の形成誘導)や抗菌効果がありますが、長期的な封鎖性には課題があります。
  • MTA(ミネラルトライオキサイドアグリゲート): 生体親和性が非常に高く、優れた封鎖性や抗菌作用、硬化後の強度も高い材料です。近年、歯髄覆罩の材料として広く使用されるようになってきました。ただし、水酸化カルシウムに比べて高価です。
  • グラスアイオノマーセメント: フッ素を放出するため、虫歯予防に効果があります。歯質との接着性も良好です。単独で使用されることは少なく、他の材料と組み合わせて使用されることが多いです。

治療後の注意点:アフターケアで長持ちさせよう!

歯髄覆罩治療後は、定期的な検診と日々の丁寧なオーラルケアが非常に重要です。治療後、一時的に痛みや違和感を感じることがありますが、通常は数日で落ち着きます。もし、以下のような症状が続く場合は、すぐに歯科医にご相談ください。

  • 持続的な強い痛み
  • 腫れ
  • 発熱

また、経過観察のために、定期的なレントゲン撮影などが必要になる場合があります。

まとめ:歯髄覆罩で大切な歯を守りましょう!

歯髄覆罩は、適切なケース選定と正確な治療技術によって、大切な歯の神経を温存し、歯の健康を長期にわたって維持する助けとなります。近年では、MTAなどの優れた材料の開発により、歯髄覆罩の成功率も向上しています。虫歯の進行が心配な方は、ぜひ歯科医とご相談いただき、可能性があればこの治療法を選択肢の一つとして検討してみてください。歯は一度失ってしまうと二度と元には戻りません。ご自身の歯を大切にするために、定期的な歯科検診と適切なケアを心がけましょう。

帯広 歯科 歯学博士 歯科医師 いしかわ歯科
医院長 石川
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