歯の神経を取るってどんなこと?抜髄のすべて(前編)
25.01.28(火)
はじめに
「歯がズキズキ痛くて眠れない…」「冷たいものがしみるのが我慢できない…」そんな経験、ありませんか?もしかしたら、それは歯の神経がSOSを出しているサインかもしれません。今回は、そんな時に行われる「抜髄(ばつずい)」について、わかりやすく解説していきます。「歯の神経を取る」って聞くとなんだか怖いイメージがあるかもしれませんが、実は大切な歯を守るための治療法なんです。
目次
- 抜髄ってどんな治療?
- どんな時に抜髄が必要になるの?
- 抜髄の目的とメリット
- 抜髄の具体的な手順
- 抜髄のリスクと知っておきたいこと
抜髄ってどんな治療?
抜髄とは、虫歯などでダメージを受けた歯の神経(歯髄)を取り除く治療のことです。歯の神経は、痛みを感じるだけでなく、歯に栄養を送る大切な役割も担っています。しかし、虫歯が進行して神経まで達してしまったり、強い衝撃で神経が損傷したりすると、激しい痛みや炎症を引き起こす原因となります。そこで、ダメージを受けた神経を取り除くことで、痛みを取り除き、歯を残すことができるのです。
(専門用語の解説)
- 歯髄(しずい): 歯の中心部にある神経や血管などが集まった組織。
どんな時に抜髄が必要になるの?
以下のような症状がある場合、抜髄が必要となる可能性があります。
- ズキズキとした激しい痛みが続く
- 冷たいものや熱いものがひどくしみる
- 虫歯が神経まで達していると診断された
- 過去に受けた詰め物や被せ物の下で虫歯が再発している
抜髄の目的とメリット
抜髄の主な目的は、痛みの緩和と歯の保存です。
- 痛みの緩和: 炎症を起こした神経を取り除くことで、痛みを根本から解消します。
- 歯の保存: 抜髄を行うことで、抜歯をせずに歯を残せる可能性が高まります。
- 感染の拡大防止: 炎症を起こした神経を放置すると、周囲の組織や骨にまで感染が広がる可能性があります。抜髄は、そのような感染の拡大を防ぐ効果もあります。
抜髄の具体的な手順
抜髄は、以下の手順で行われます。
- 検査と診断: レントゲン撮影やCT撮影で歯の状態を詳しく確認し、抜髄が必要かどうかを判断します。
- 麻酔: 治療中の痛みを抑えるために、局所麻酔を行います。最近では、痛みを軽減する麻酔方法も進歩しています。
- 歯に穴を開ける: 神経にアクセスするために、歯の表面に小さな穴を開けます。
- 神経の除去: 特殊な器具(ファイル)を使って、丁寧に神経を取り除きます。
- 根管の清掃・消毒: 神経を取り除いた後の根管(神経が通っていた管)を丁寧に清掃・消毒します。この工程が非常に重要で、細菌を徹底的に除去することで、治療後の再感染を防ぎます。
- 根管充填: 清掃・消毒後、根管に充填材を詰めて密封します。これにより、細菌の侵入を防ぎます。
- 被せ物: 最後に、歯の強度を補強し、見た目を整えるために、被せ物(クラウン)を装着します。
(新しい知見)
- マイクロスコープの使用: 近年では、マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を使用して、より精密な治療を行う歯科医院が増えています。マイクロスコープを使用することで、肉眼では見えない細かい部分まで確認しながら治療を進めることができ、治療の精度が向上します。
- Ni-Tiファイル: 従来のステンレス製のファイルに代わり、柔軟性のあるNi-Ti(ニッケルチタン)ファイルを使用することで、複雑な根管の清掃もより効率的に行えるようになりました。
抜髄のリスクと知っておきたいこと
抜髄には、以下のようなリスクもゼロではありません。
- 治療後の痛み: 治療後、数日間は痛みを感じることがあります。通常は鎮痛剤でコントロールできる程度です。
- 再感染: 根管の清掃・消毒が不十分な場合、再感染を起こす可能性があります。そのため、丁寧な治療が重要です。
- 歯の変色: 抜髄後、歯の色が若干暗くなることがあります。これは、神経を取り除いたことで歯への栄養供給が途絶えるためです。
- 歯の脆弱化: 神経を取り除いた歯は、若干脆くなる傾向があります。そのため、被せ物で補強することが推奨されます。
まとめ
抜髄は、大切な歯を守るための重要な治療法です。もし歯の痛みや違和感を感じたら、早めに歯科医院を受診し、適切な診断と治療を受けるようにしましょう。次回は、抜髄後の注意点やアフターケアについて詳しく解説します!
お口のことで気になることがあれば、お気軽にご相談くださいね!
帯広 歯科 歯学博士 歯科医師 いしかわ歯科
医院長 石川
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