糖尿病と歯周病の関係
24.07.13(土)
糖尿病と歯周病の関係
糖尿病とは?
糖尿病は、血糖値が高くなる慢性疾患です。インスリンの分泌不足または作用不足により、血糖値がコントロールできなくなります。
歯周病とは?
歯周病は、歯を支える組織(歯肉や歯槽骨)が炎症を起こし、破壊される病気です。歯肉炎から始まり、進行すると歯周炎となります。
糖尿病と歯周病の関係
- 糖尿病の患者さんは、歯周病にかかりやすく、進行もしやすいです。
- 歯周病があると、血糖コントロールが難しくなります。
糖尿病が歯周病に与える影響
高血糖が続くと、歯肉の血液循環が悪くなる
- 血管の損傷:高血糖は血管にダメージを与え、歯肉の微小血管の血流が悪くなります。
- 白血球の機能低下:血流が悪くなることで、感染症に対する防御を担う白血球の機能が低下します。
感染症に対する抵抗力の低下
- 免疫機能の低下:高血糖は体全体の免疫機能を低下させます。
- 細菌の増殖:高血糖状態では、口腔内の糖分も増え、歯周病菌が増殖しやすい環境が整います。
インスリン抵抗性が高まることで、炎症が起きやすくなる
- 慢性炎症:糖尿病によりインスリン抵抗性が高まると、体内で炎症反応が起きやすくなります。
- 炎症性サイトカインの増加:インスリン抵抗性が高まると、炎症性サイトカイン(例:TNF-α、IL-6)が増加し、歯周組織の破壊が進行します。
歯周病が糖尿病に与える影響
歯周病の炎症が体全体に広がる
- 全身への炎症拡散:歯周病の炎症が口腔内だけでなく、血流を通じて全身に広がることがあります。
- 細菌の侵入:歯周病菌やその毒素が血流に乗って体内に入り、他の臓器に影響を与えることがあります。
インスリンの働きを妨げる炎症物質の増加
- 炎症性サイトカインの分泌:歯周病により分泌される炎症性サイトカイン(例:TNF-α、IL-6)は、インスリンの働きを阻害します。
- インスリン抵抗性の悪化:歯周病による慢性炎症が続くことで、インスリン抵抗性がさらに悪化し、血糖コントロールが困難になります。
血糖値のコントロールがさらに難しくなる
- 血糖値の上昇:歯周病による慢性的な炎症がインスリン抵抗性を悪化させるため、血糖値が上昇しやすくなります。
- 治療の遅延:歯周病の治療が遅れると、炎症が慢性化し、糖尿病のコントロールがさらに難しくなるため、早期治療が重要です。
予防と管理
糖尿病管理
- 血糖値の適切な管理(食事療法、運動療法、薬物療法)
- 定期的な血糖値のチェック
歯周病予防
- 定期的な歯科検診
- 毎日の口腔ケア(歯磨き、デンタルフロスの使用)
- 歯周病の早期発見と治療
患者さんへのアドバイス
- 糖尿病と診断されたら、必ず歯科医師に相談し、定期的に歯のチェックを受けましょう。
- 歯周病の症状(歯肉の腫れ、出血、口臭など)がある場合は、早めに歯科を受診しましょう。
- 生活習慣を見直し、口腔ケアを徹底することが大切です。
まとめ
糖尿病と歯周病はお互いに影響を与え合う関係にあります。どちらも早期発見と適切な管理が重要です。日々のケアと定期的なチェックを忘れずに行い、健康な生活を送りましょう。
歯科医師 歯学博士
いしかわ歯科 石川